この時期の夜
布団に入ってもなかなか眠れず
時計ばかり気になってしまう――
そんな経験はありませんか?
外はどんどん寒くなり
街の明かりも静かに瞬く冬の夜。

体は冷え
心は緊張したまま
頭の中だけが
ぐるぐると考えごとを巡らせる。
やっと眠れたと思ったら
夜中に何度も目が覚め
朝は疲れが残る。
気持ちもどんよりして
日中の集中力も落ちてしまう――
この「眠れない冬の夜」に悩む女性は
決して少なくありません。
でも安心してください。
冬の不眠は
「仕方がないこと」
ではありません。
東洋医学には
心を落ち着け
体を温め
自然な眠りへ導く
「安神(あんじん)薬膳」
という知恵があります。
心も体も優しく満たす食材と
手軽にできる
ツボ刺激を組み合わせれば
冬の夜でも
ぐっすり眠れる準備を
整えることができるのです。
冬の不眠 ― “腎”の弱りと冷えがカギ
東洋医学では
冬は「腎(じん)」の季節。
腎は生命エネルギーの源であり
体を温め
ホルモンや自律神経の働きを支えています。

腎の力が弱まると
体の芯が冷えやすくなり
「寝つけない」
「夜中に目が覚める」
「朝がつらい」といった
不眠が現れやすくなります。
また、冷えによって血流が滞ると
心(しん)への栄養も届きにくくなり
精神の安定が乱れがちに。

静かな夜がかえって
不安や焦りを増幅させ
眠りの妨げになってしまうこともあります。
そのため
冬の安神薬膳では
「心を鎮める」と同時に
「腎を温める」ことを大切にします。
“温めて安心”する、冬の安神薬膳
冬の安神薬膳では
「温・甘・柔らかい」食材を中心に
心と体を
やさしく包む食卓を意識します。
特におススメの食材は次の通りです。
黒ごま
腎を養い
血を補う冬の定番。
冷えや疲れを和らげ
髪や肌の潤いもサポートします。
くるみ
脳や神経を落ち着かせ
気持ちの緊張をゆるめます。

血流を促す作用もあるため
手足の冷えや
眠りの浅さにも効果的です。
鶏肉
体を温め
気血を補う食材。
スープにすると消化もよく
寝る前でも負担になりません。
山薬(やまいも)
気を補い
腎を助ける滋養食材。
・疲れやすい
・冷えやすい
・眠りが浅い方に
特におすすめです。
なつめ(棗)
心を安定させる
安神食材の代表。
血を補い
体と心を穏やかに整えます。
夜におすすめのリラックス系レシピ🌜
1️⃣ 温かい黒ごまミルク
牛乳または豆乳…200ml
すり黒ごま…大さじ1
はちみつ…小さじ1〜2
●作り方●
1.小鍋に牛乳を入れ、弱火で温める。
2.すり黒ごまを加え、よく混ぜながら温める。
3.火を止め、はちみつで甘さを調整
黒ごまの香ばしい風味と
やさしい甘さで、
心と体をじんわり温める一杯。

寝る前のリラックスタイムにぴったりです。
2️⃣ なつめとクコの実のあたたかハーブティー
なつめ(種なし)…2個
クコの実…小さじ1
生姜スライス…1枚
お湯…200ml
●作り方●
1.なつめとクコの実、生姜をティーポットに入れる。
2.熱湯を注ぎ、5〜10分蒸らす。
3.そのまま飲むか、ほんのり甘味を加えても◎
心を落ち着け
体を温めるハーブティー。

夜の静かな時間に
じっくり味わうと、
自然に眠気が訪れます。
ツボで整えるセルフケア
食べ物とあわせて
ツボで「気の流れ」を整えるのも
効果的です。
寒さで縮こまった体をゆるめ
心を穏やかにするツボをご紹介します。
💧湧泉(ゆうせん)
足裏の中央よりやや指寄り。
足の指を曲げたときにくぼむ場所。

冷えや不眠に効果的。
腎を活性化し、全身を温める。
温かい手で
3〜5秒押して離すを5回ほど。
寝る前の足湯と
組み合わせるとより効果的です。
🌙神門(しんもん)
手首の小指側
横じわの上で少しへこんだ部分。

心を鎮め
緊張や不安を和らげる。
親指で軽く押して
3呼吸ほどキープ。
寝る前のルーティンに
取り入れやすいツボです。
🔥三陰交(さんいんこう)
内くるぶしの上
指4本分ほどのところの
骨の後ろ側。

・冷え
・月経トラブル
・不眠など
女性の養生に欠かせないツボ。
両手で温めるように包み込み
深呼吸しながらゆっくり押します。
冬は特に冷え対策におススメです。
夜の過ごし方も薬膳の一部
冬の夜は
静けさを味方にして
“深く休む”時間を
意識してみましょう。
寝る1時間前に照明を落とし
ぬるめの白湯を一杯
スマホやPCを手放して
ゆっくり呼吸に意識を向ける
寝室をあたたかく保ち
足首を冷やさない
眠りは「心と体のリセットタイム」

焦らず、あたたかく、ゆるやかに。
自分を大切に扱うことこそが
いちばんの安神になります。
まとめ&おわりに
冬は体の中で
エネルギーが内へ沈み
腎の力が大切になる季節です。
安神薬膳は
心を落ち着け
冷えや疲れをやわらげ
深い眠りへ導く知恵。
さらにツボ押しや
生活習慣の工夫を加えることで
より効果的に
眠りを整えることができます。
冬の夜は
体と心が「休みたい」と
伝えているサインです。
黒ごまの香るミルクや
温めたツボ刺激で
自分の体と心を包み込み
静かに安らぐ時間を作ってあげましょう。
寒さの中で
じっくり充電した心身は
春に向けての力を
蓄える大切な時間になります。




