――本格的な寒さが深まる前に
体の声を聴いてみませんか
朝晩の空気がひんやりとしてくると
「あ、そろそろ冷えの季節だな」
と感じる方も
多いのではないでしょうか。
足先が冷たい
布団に入ってもしばらく温まらない
トイレが近くなる
そんな小さなサインこそ
身体からの“冷え注意報”です。
冷えを放っておくと
血流が滞り
代謝や免疫力が下がるだけでなく
・肩こり
・生理痛
・むくみ
・不眠など
さまざまな不調の引き金になります。
寒さが本格的になる前に
身体を芯から温める
「冬支度」を始めましょう。
漢方の視点:「冷え」は“腎”の弱りから
漢方では、冬は
「腎(じん)」の季節といわれます。

腎は生命エネルギーの貯蔵庫であり
成長・生殖・老化などにも関わる
大切な臓腑。
つまり
“体の根っこ”を支える存在です。
冷えが続くと
この腎の働きが弱まりやすくなり
・疲れが取れにくい
・腰や膝が冷える、痛む
・むくみやすい
・トイレが近い、または夜間頻尿
・髪のツヤがなくなる
といったサインが現れます。
「冷え対策=腎を守る」こと。
これが、冬の薬膳の基本です。
“芯”を温める食べ方のコツ
身体を温めるためには
単に
「温かい料理を食べる」だけでは不十分。
「体を温める性質の食材」を選び
バランスよく摂ることが大切です。
五性で見ると…
食材の性質を示す「五性」で
体を温めるものは 温性 や 熱性 の食材。

代表的なものに
次のような食材があります。
生姜・ねぎ・にんにく
羊肉・鶏肉
かぼちゃ・にんじん・れんこん
シナモン(桂皮)・クローブ
黒ごま・くるみ

これらは体を内側から温め
「気血」の巡りを良くし
冷えによる痛みやだるさを
和らげてくれます。
「腎」を補う黒い食材
腎の色は「黒」

黒い食材には
腎を補う力があるとされます。
黒豆
黒ごま
ひじき
きくらげ
海苔
これらを日々の食卓に
少しずつ取り入れることで
体の“根っこ”がしっかりしてきます。
寒い冬の「薬膳ドリンク」:黒ごま生姜ラテ
腎を補い、内側から温まる一杯です☕
黒ごまペースト…大さじ1
生姜すりおろし…小さじ1/2(辛味が苦手なら少なめ)
牛乳 or 豆乳…200ml
黒砂糖(またははちみつ)…小さじ1〜2
シナモンパウダー…ひとつまみ(お好みで)
<作り方>
①小鍋に牛乳(または豆乳)を入れ、弱火で温める。
②黒ごまペースト・生姜・黒砂糖を入れ
泡立て器でよく混ぜる。
③湯気が立つくらいまで温まったら火を止め
カップに注ぐ。
④お好みでシナモンをひと振りして完成。
黒ごま:腎を補い、血を養い、髪のツヤを守る
生姜:体を内側から温め、冷えによる巡りの滞りを改善
黒砂糖:体を緩め、血を補い、胃腸にもやさしい
シナモン(桂皮):体表を温め、冷えによる不調を和らげる
黒ごまと生姜の相性が良く
コクがありながらも
身体にじんわり染み入る
冬の薬膳ドリンクです。
夜のリラックスタイムにも
朝の「温めスイッチ」としてもおすすめです✨

ペーストじゃなくても
「すり黒ゴマ」で
味と効能はしっかり活かせます!!
■ すり黒ごまで作る場合のポイント■
① 分量は少し増やす
大さじ1 → 大さじ1.5〜2 に増やすと
香りとコクがしっかり出ます。
② とろみを出す場合は少し工夫
ペーストは油分があるため
自然にコクが出ますが
すりごまはさらっとしています。
とろみと飲みやすさを出すために
・はちみつや黒砂糖を少し多めにする
・豆乳を使う(牛乳よりコクが出やすい)
・少量の白玉粉を溶かして加える(ほんの少しでOK)
③ 先にすりごまを、少量の温かい
豆乳(or 牛乳)で溶くとダマになりにくい
体質による注意点⚠️
温め食材といっても
「誰にでも合う」とは限りません。
たとえば
顔がほてりやすい・のぼせやすい方が
熱性の強い唐辛子やにんにくをたくさん摂ると
逆にバランスを崩すことも。
そんな方は、
温性で穏やかに温める食材
(生姜、ねぎ、シナモン、かぼちゃなど)を中心に。

一方で、
冷えが強く、疲れやすいタイプは
熱性の食材(羊肉、にんにく、黒胡椒など)を
適度に取り入れるとよいでしょう。
また、胃腸の弱い方は
食べ過ぎや刺激の強い香辛料を控え
消化を助ける
「穏やかに温める食事」を心がけてください。
「冷えない体を育てる」3つの食べ方習慣
- 朝食を抜かない
朝は陽気が立ち上がる時間帯。
温かい汁物や粥で
胃腸を動かすことで
一日の体温リズムが整います。 - よく噛んで、ゆっくり食べる
消化が整えば
「気血」が生まれ
体の中から自然に温まります。
早食いは冷えの原因に。 - 冷たい飲み物を控える
真冬でも冷たい飲み物を常飲していると
せっかく温めても
内側から冷えてしまいます。
常温か温かいお茶を選びましょう。
まとめ&おわりに
冬の冷え対策は
ただ体を温めるだけでなく
身体そのものの力を整える
「養生」です。
薬膳の視点では
冷えは腎の弱りと関係しているため
温めながら腎を補う
食材を取り入れることが大切になります。
体質に合わせて
・温性や熱性の食材を選び
・辛味で巡りを促し
・甘味でエネルギーを補い
・鹹味で腎を潤すように整えていくと
体の芯から
温まりやすい身体へと育っていきます。
血行が促され
代謝が高まり
免疫力の維持にもつながるため
寒さが本格的になる前に
意識して取り入れていきたい養生法です。
温かい一杯のスープや
毎日の食卓の小さな工夫から
冬を元気に過ごせる体づくりを
始めてみてくださいね⛄
