漢方の基礎知識:五臓六腑「水」生きるための根本的なエネルギーを司る『腎』

今回から、「五臓六腑」の器官11個を
ひとつずつ調べていきます。

  
  
  

馴染みのある
西洋医学の臓器と似た機能をし
場所も近いところにあるので
分かりやすいかと思います。(*^^*)

  
  
  

しかし東洋医学と西洋医学の”臓器”は
完全に一致しているわけではないので
ご注意を。

東洋医学では、臓腑は”機能”を指し
西洋医学では、”ひとつの内臓”を表しています。

「水(すい)」とは、生命の根源

五行説の元素は「水」から始まります。
※どこから始まるかは諸説あります。

  
  
    

「水」とは、生命の根源です。

植物で言うと種子の時期です。

  
  
  

最も本質的なエネルギーで
種子のように
内側に生きるエネルギーを蓄えています

  
  
  

それを蓄える臓腑が「腎」です。

水の性質

・高い生命力や可能性、潜在能力を秘める
  →発展して、成長機能や老化とも関連
・潤す
・上から下に流れていく
・冷やす
・存続する事が主な目的
  →体の機能は「生殖」に関すること
   精神面では「志す」ことに関わる

”腎”の主な機能

①水分代謝をコントロール(主水作用)

取り入れた水分は津液となって
全身を巡ります。

不要となった汚れた津液は
膀胱へ送られ
尿として排出され
水分代謝を調節しています。

②吸った空気を肺から腎へ降ろす(納気作用)

呼吸と言えば
「肺」だけだと考えがちですが
東洋医学では「肺」と「腎」が
うまく作用しないと
正常な呼吸が出来なくなると考えられています。

③生殖機能や発育・成長機能を担う(蔵精作用)

身体を動かすエネルギーのひとつである
「精」を蓄えています

腎に蓄えられた精を「腎精(じんせい)」といい
親から受け継がれ
生殖・発育成長・老化に関与します。

「腎」には副腎皮質ホルモンや性ホルモンなどの
分泌機能も含まれるため
生殖・成長機能もコントロールしている
ということになります。

東洋医学では
身体を動かす根本エネルギーを「気」
人体を成長させ器官や組織を成長させる「精」
精神活動を統率する「神」の3つに分類しています。
なかでも「精」は
親から子に受け継がれる、特別の精「先天の精」
食物を消化吸収することによって得られる「後天の精」に分けられます。

老化現象をもたらす「腎」の不調

・体内に余分な水が溜まる”むくみ”
・呼吸機能が不調となり”息切れ””咳”
・腎の水分調節に不調が出ると
 「膀胱」にも影響を及ぼし
  ”頻尿””夜間尿”などの排尿障害が起こってきます。
・腎の不調は耳にも影響を与え
 ”耳鳴り””聴力低下”を引き起こします。
・生殖機能に影響を与えるようになると
 ”性欲減退””不妊”の症状を引き起こします。
・精神面では「志」に関わってくるので
 ”根気がなくなる”
 ”忘れっぽくなる”などの症状があります
・感情面では「恐」に関わってくるので
 ”強迫観念が強くなる”
 ”ちょっとしたことに驚く”などがあります。

まとめ&あとがき

「腎」の不調には
老化の症状が多くありましたね。

  
  
  

老化の現象とは
「腎精」が不足していると
起こる現象でもありました。

  
  
  

ひとつひとつの不調と原因が
しっかり紐づけされていたようで
いっそう理解が深まりました(*’ω’*)

●参考サイト・文献●

https://www.timeless-edition.com/archives/3792 Timeless Editions
「カラダを考える東洋医学」 伊藤剛 朝日新聞出版
「プロが教える東洋医学のすべてがわかる本」 平馬直樹 ナツメ社