漢方の基礎知識:五臓六腑「金」身体に清らかな気を取り込む『肺』

漢方・東洋医学

今回は五行の最後の要素である
第5元素「金(こん)」です。

それに呼応する臓腑
『肺(はい)』について調べていきます。

  

「金」の性質:具体化したものを、洗練・純化させる

五行の第5元素は「金(こん)」です。

  
  
  

「土」が凝縮され純化して
「金」できる
ように

「土」までの時期に具体化したものを
純化させ
秩序を与える時期
です。

  
  
  

外からの純粋なエネルギーを取り入れ
体内の汚れたエネルギーを手放していく
交換の場でもあります。

  
  
  

そのため、外界との境界線である
皮膚とかかわりがあります

  
  
  

植物で言うと
「金」は呼吸器の役割を果たす”葉”になります。

「肺」の主な機能

「肺」は
生命力を補充する重要な臓器です。

  
  
  

呼吸を通して
きれいな空気を体に補充
汚れた空気を排出する働き
西洋医学でいう
肺の呼吸の機能に共通していますが
東洋医学では、さらに広い意味を持ち

・津液を体に散布する役割
・皮膚の調節
・外邪からの防御作用

なども、担っています。

①呼吸作用

大気中の清らかな空気「清気」を吸い込み
体内を巡って汚れた「濁気」を排出する

機能を持っています。

そのため全身の気の流れを統括する
働きを担っています。

「清気」は気血の原料にもなるため
気血の生成も促進しています。

    

②上方向・外側に拡散させる宣発(せんぱつ)作用

体内から「肺」に集められた気血水を
体表や上方のすみずみにまで
拡散される機能

体内の濁気を排出し
津液や栄養分
衛気(=身体を守る気。免疫機能とほぼ同意)の拡散
を担い
人体の防衛機能に関与しています。

また津液の巡りも司るため
皮膚に散布された津液は
汗として排出されます。

    

③下方向・内側に拡散させる粛降(しゅくこう)作用

宣発作用が上・外側に向かって働くことに対し
下方向・内側に向かって拡散する働きを
粛降(しゅくこう)作用
と言います。

「清気」を吸入し
肺と気道を整え
津液や栄養分を下方の臓腑へ
輸送する働き
を持ちます。

宣発作用により各臓器を潤した後
腎や膀胱に降ろされた津液は
尿として排出され
排泄をコントロールしています。

皮膚にも影響を与える肺の不調

①鼻水・鼻づまり・痰

肺に変調が起こると
鼻をうるおす津液に
異常が生じやすくなります。

宣発作用が低下すると
身体の上方にある水分が停滞

・鼻水
・鼻づまり
・痰

が出やすくなります。

    

②むくみや排尿困難

粛降作用が低下すると
津液の巡りに異常が生じ
汗も少なくなる
ため

・むくみ
・尿量の低下などの排尿困難

となります。

   

③風邪をひきやすくなる

宣発作用が低下すると
防衛機能にも
影響が出やすくなります

宣発作用により
身体を守るための衛気が拡散される機能が低下
身体の表面を覆うことが出来なくなるためです。

   

④咳・息切れ

粛降作用が低下すると
呼吸の異常を引き起こします。

咳・ぜんそくなどの呼吸困難や
嗅覚障害が起こりやすくなります。

   

⑤肌や発汗異常

宣発作用により
津液は皮膚に散布されるはずが
不調を来すと

・乾燥による肌荒れやかゆみ
・多汗や無汗などの発汗異常

が起こりやすくなります。

おわりに&まとめ

これで五臓六腑の五臓
5つすべてを調べていきました。

  
  
臓腑と臓腑とが
補完しあったり
影響しあったり
陰陽の基本理論が
こんなところにも影響されているんですね。

  
  

西洋医学で教えてもらってきたことが
世の中の医学のすべてではない

 
 

そんなことが分かった気がします 

本当に奥が深ーい
そして、面白ーい!!

  
  

次回からは五臓六腑の「六腑」について
調べていきます♬

●参考サイト・文献●
「カラダを考える東洋医学」伊藤剛 朝日新聞出版
「プロが教える東洋医学のすべてがわかる本」平馬直樹 ナツメ社
 https://www.timeless-edition.com/archives/3792#tree  Timeless Edition「東洋医学」五元素

 http://kagetsu-clinic.or.jp/kanpou/k_06.html 花月クリニック「肝について」

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