漢方の基礎知識:「血」の作り方・巡らせ方

以前
「気血水」理論を調べた際にも
「血」についても、まとめていきました。

「血」の作り方と
巡らし方について
焦点を絞り
くわしくまとめ直したいと思います。

復習

「血(けつ)」とは
全身の各器官に栄養を与え
滋養させる働き
を持っています。

西洋医学の「血(ち)」と似ていますが
まったく同一のものではありません

赤血球や血小板など
血液成分の概念はなく
生成も作用も異なっています。

その他にも中医学では「血」は
全身に栄養分を
行き渡らせる作用を持つほか、
精神活動を支える性質も持っています。

「血」の作り方

『気は血の帥(すい)』とも言われるほど
「気」と「血」は
密接な関係性を持っています

(※帥=一群を率いるもの、長、リーダー)

  

生成される流れをみていきましょう。

方法その①飲食物からの「水穀の精微」が材料

「気」の気化作用によって
飲食物から「血」の材料になる
”水穀の精微”が作られ
それを材料に
「脾(ひ)」の作用
「血」が作られます。

方法その②「営気」と「津液」を結合させる

”水穀の精微”から取り出された
「営気」と「津液」が結合

「血」が生成される方法があります。

「血」の巡らせ方

「心」の
”血を全身に巡らせるポンプのような機能”と
「気」の”推動作用”で
臓腑から皮膚まで
血を巡らせることが出来ます。

  
  

血は「血脈」と「経絡」を通して
全身を巡ります。

「血」の貯蔵庫の「肝」

生成された血は
「肝(かん)」に貯えられ

血流量を調節されています。

  
  

これにより
必要な部位に適度な血流・血量が
行き渡る
ようになっています。

  
  

これを肝の「蔵血作用」と言います。

「血」は精神活動の基本物質でもあります

「血」は
栄養を与え滋養をさせる働きを持つだけでなく
精神活動の基礎物質と考えられています。

  
  
  

充分な血流量によって
精神を安定させ
明瞭な意識を保つことが出来ているのです。

  
  
  

興奮を静めたり
冷静な判断をしたり
機能面では
ゆったりとした状態を提供します。

  
  
  

血が不足すると
多夢
健忘
驚きやすい などの
精神不安症状が現れます。

おわりに

先述の「気は血の帥」
という言葉と相関して
「血は気の母」
という言葉にもたどり着きました。

  
  
  

気は管理者」として
血液を押し流すことを表現したのが
「気は血の帥」

  
  
  

それに対して
「血は気の母」とは
血が気を養うことを表現
している言葉です。

  
  
  

人体の「気」は運動量が大きく
「血」や「津液」などの
有形のものに付着させておかないと
浮いて拡散してしまい
身体から抜け出ていってしまいます

  
  
  

無形の「気」を
有形の「血・津液」などにくっつけることで
体内に留めておくことができる
のです。

  
  
  

このことからも
「気」と「血」には
切っても切れない関係性があり
お互いが協力しあいながら
身体の維持に貢献していることが
お分かりになると思います。

●参考書籍・サイト●

「プロが教える東洋医学のすべてがわかる本」 平馬直樹 ナツメ社
https://www.timeless-edition.com/archives/31900 Timeless Edition「東洋医学」五元素
http://www.fukudaryu.co.jp/kanpou04.html 福田龍株式会社「漢方の知識」
http://kagetsu-clinic.or.jp/kanpou/k_03.html 花月クリニック「漢方について」
https://yakuyomi.jp/manner_technique/%E7%AC%AC39%E5%9B%9E%E3%80%80%E4%BA%BA%E4%BD%93%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8B%E6%B0%97%E3%83%BB%E8%A1%80%E3%83%BB%E6%B4%A5%E6%B6%B2%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%887%EF%BC%89%E6%B0%97%E3%83%BB/ 薬読「人体を作る気血水とは」