はじめの薬膳:食欲の秋に負けない! 食べすぎ・飲みすぎの『秋太り』リセット術 -脾をいたわり、カラダを軽く整える食べ方-

秋になると
なぜか食欲がわいてきませんか?

 
 
 

夏の疲れが抜けきらないまま
涼しさとともに訪れる
“美味しい誘惑の季節”

 
 
 

栗ごはんにサンマ
さつまいも
きのこたっぷりの炊き込みご飯……

思わず箸が止まらなくなり
「ちょっと食べすぎたかも」
と感じる人も多いのではないでしょうか。

 
 
 

そんな“食欲の秋”にこそ
意識したいのが
「脾(ひ)」をいたわること。

 
 
 

中医学でいう「脾」とは
消化吸収をつかさどる臓腑で
現代でいう胃腸の働きに近い存在
です。

脾が元気であれば
食べたものからしっかりエネルギー(気)や
血を生み出し
体は軽やかに整います。

 
 
 

反対に、
脾が弱ると消化不良やむくみ
だるさ
体重増加といった
“秋太り”サインが現れる
のです。

「秋太り」は脾の弱りからやってくる

秋は「燥(乾燥)」の季節ですが
夏に冷たい飲み物や
アイスなどを多く摂っていた人は
体の中に
“湿(余分な水分)”を溜め込みやすくなっています

 
 
 

この“湿”が脾の働きを妨げると
食べたものを上手く消化できず
体が重だるくなったり
むくみが出たりしやすくなります。

⚠️特にこんなサインがある人は要注意:

・朝起きたとき、顔や足がむくんでいる
・食後に眠くなりやすい
・胃もたれしやすい
・甘いものや脂っこいものがやめられない
・体が重く、やる気が出にくい

こうした状態を放っておくと
いわゆる“秋太り”に直結します。

 
 
 

つまり、
リセットのポイントは
「食べないこと」ではなく

「脾を元気にして、巡りをよくすること」なのです。

脾をいたわる“秋太りリセット”の薬膳ポイント

温めて消化をサポート

冷たいものを控え
常温か温かいものを
意識的に摂りましょう

 

脾は“温かい環境”を好み
“冷え”に弱い臓です

 

体を冷やすと
胃腸の働きが鈍り
食べものが停滞しやすくなります。

 

おススメは
生姜・ねぎ・シナモンなどの
「温性」の食材。

お味噌汁やスープに少し加えるだけで
体がじんわり温まります。

“湿”を取り除き、スッキリ軽く

余分な水分をため込まないためには
“利湿(りしつ)”の食材が役立ちます

「利湿」とは
体の中にたまった余分な「湿(しつ)」を
取り除くことを指します。
 
「利湿」はつまり
 → 湿を「動かし」、「外に出す」働きを助けること。
 → 湿の停滞による
  重だるさ・むくみ・下痢などを改善する方法です。

 

・はと麦(ヨクイニン)
・小豆
・とうもろこしのひげ茶 などは
体にたまった水分を排出してくれる代表格。

むくみや重だるさを感じるときに
ぴったりです。

 
 

また、キャベツや大根などの
淡色野菜もおすすめ。

消化を助けながら
腸の働きを整えてくれます。

甘味の摂り方を見直す

秋は
「甘いものが欲しくなる季節」でもあります。

 

しかし、甘味の摂りすぎは
脾の負担に直結します。

 

“甘味”自体は
脾を補う働きがありますが
自然な甘味(さつまいも・かぼちゃ・にんじん・栗など)を
中心にしましょう。

お菓子や砂糖ではなく
旬の野菜や果物の甘味で満たすことが
脾を元気にするコツ
です。

秋太りを防ぐおすすめ薬膳ご飯

🍚はと麦入り きのこ粥

消化に優しく
湿を取り除くお粥は
脾の養生にぴったり。

はと麦ときのこを加えることで
体の中の余分な水分をスッキリ排出し
軽やかさを取り戻します。

材料(2人分)
 ・米1/2合
 ・はと麦大さじ1
 ・水500ml
 ・しめじ・まいたけ各1/2パック
 ・しょうが少々
 ・塩少々

作り方

1.米とはと麦を軽く洗い、鍋に水を入れて火にかける
2.きのこ、しょうがを加え、弱火で30分ほど煮る
3.塩で味を整える

胃腸が疲れ気味のときや
飲みすぎた翌朝にもおススメです。

🎃小豆とかぼちゃの優しい煮もの

小豆で“利湿”、
かぼちゃで“補気”。

 

どちらも脾を助ける組み合わせで
甘味の満足感がありながら
体を重くしません。

材料
 ・小豆1/2カップ
 ・かぼちゃ1/4個
 ・塩少々

作り方

1.小豆を柔らかくなるまで煮る
2.かぼちゃを加えてさらに10分煮込み、塩で味を調える

ほんのり甘い自然の味わいで
心もほっと落ち着きます。

体質に合わせて調整を

体質によって
薬膳の取り入れ方も少し変わります。

 

 冷えやすいタイプ → 生姜、ねぎ、シナモンなど温性食材をプラス
 のぼせやすいタイプ → 余分な熱を冷ます大根、れんこん、白菜を中心に
 むくみやすいタイプ → はと麦、小豆、冬瓜などの利湿食材を多めに

 

自分の体質を観察しながら
季節の変化に合わせて
少しずつ調整していくことが
薬膳の楽しみでもあります。

まとめ

秋太りの原因は
食べすぎよりも
「脾の疲れ」にあることが多いもの。

 
 
 

冷たい飲み物や暴飲暴食を控え
脾をやさしくいたわる食事を心がけることで
自然と体は軽く整っていきます。

 
 
 

秋の味覚を我慢するのではなく
“脾を元気に保つ食べ方”で
美味しく楽しく
リセットしていきましょう。

五味・五性・効果効能まとめ

食 材五 味五 性主な効能
はと麦甘・淡微寒利湿・むくみ改善・美肌
小豆甘・鹹利尿・解毒・疲労回復
かぼちゃ補気・疲労回復・胃腸を温める
しょうが発汗・健胃・冷え改善
大根辛・甘消化促進・のぼせ・胸やけ改善
きのこ類免疫力UP・消化促進・整腸


秋の美味しさを味方につけながら
心も体も軽やかに🍁

 
 
 

脾を整える薬膳で
“秋太り知らず”の季節を過ごしましょう。