秋の食卓に並ぶと
なんだかほっとする
じゃがいも🥔
煮ても焼いても
スープにしても美味しく
食卓の名脇役ともいえる存在です。
ポテトサラダや肉じゃが
コロッケなど
家庭の味を思い出す方も
多いのではないでしょうか。

でも実は
じゃがいもは美味しいだけではない
「立派な薬膳食材」でもあるのです。
今回は
そんな身近な食材「じゃがいも」を
漢方・薬膳の視点から
深掘りしてみましょう。
じゃがいもが旬を迎える「秋」に食べたい理由
秋は「収穫の季節」
夏に蓄えた陽の気が
少しずつ陰に転じ
体も「冷やすモード」から
「温めて守るモード」へと
変化していきます。

この季節、
体が求めているのは
“エネルギーを補う食べ物”。
じゃがいもは、
まさにこの条件にぴったりの食材です🥔
漢方でいう
「脾(ひ)」=消化吸収をつかさどる臓腑を助け
体のエネルギー源である
「気」を補うはたらきがあります。

つまり、
夏の疲れで弱った胃腸をいたわり
秋から冬に向けて
エネルギーをしっかりチャージしてくれるのです。
また、秋は空気が乾燥し
肌や喉がカサつきやすい時期。
じゃがいもには
体の水分を補う作用もあるため
「乾燥ケア」の食材としてもおすすめです。
薬膳的「じゃがいも」の効果効能
【五味】:甘味
【五性】:平性〜やや涼性
【帰経】:脾・胃

補気健脾:気を補い、胃腸を整える
和中止痛:胃の痛みを和らげる
潤燥通便:乾燥を潤し、便通を整える
優しい甘みは“胃腸の味方”
じゃがいもの
ほっくりとした甘み。
この“甘味”は、薬膳では
「脾」を補う
基本の味とされています。

甘味には
体を緩めて
心を落ち着かせるはたらきもあり
ストレスで
胃がキリキリしやすい人にもぴったり。
疲れたときに
じゃがいものスープやポタージュを飲むと
心までホッとするのは
理にかなっているのですね。
ただし注意したいのは
「食べすぎ」
甘味の摂りすぎは
かえって脾を弱らせ
むくみやだるさの原因になることも。
体調に合わせて
“ほどほど”を意識しましょうね。
じゃがいもを食べるときの注意点
じゃがいもは
加熱すればやさしい性質ですが
実は「未熟なもの」には毒性があります。
皮が緑色になっているものや
芽が出ているものは
ソラニンという有害物質を含むため
しっかり取り除くようにしましょう。

また、冷え性の人にとっては
じゃがいもは
やや「平性〜涼性」に分類されるため
食べすぎると体を冷やすことがあります。
特に寒がりの方は、
しょうがやねぎと一緒に調理して
“温める工夫”をすると安心です。
一方で、
胃が弱っているときや
便秘気味のときには最適な食材。
消化を助け、
体の巡りを整えてくれるため
無理のないエネルギー補給になります。
調理法による働きと栄養価の変化
じゃがいもは、
調理方法によって
その働きや栄養価も少しずつ変化します。
調理法を少し意識するだけで
じゃがいもは
「ただの常備菜」から
「体調に寄り添う薬膳食材」へと変わります。
今日の気分や体調に合わせて
カラダが喜ぶ一皿を
楽しんでみてくださいね。
茹でる・蒸す
茹でる・蒸すなどの“水を使う調理”では
余分な油を使わず
消化にやさしい仕上がりになります。

胃腸が弱っている時や
疲れやすい時におすすめです。
焼く・揚げる
焼く・揚げるなど“火を強く使う調理”は
体を温める性質を強め
エネルギーをしっかり補う力が増します。
冷え性の方や、活動量の多い方に向いています。
皮ごとの調理
皮ごと調理すれば
ビタミンCやミネラルの損失を防ぎ
より「気を補い、潤いを守る」効果が
高まります。

薬膳では
“皮も食材の一部”と考えられるため
できるだけ自然のまま
旬の力をいただくのが理想です。
体質別のおすすめ食べ方
薬膳では、同じ食材でも
体質によって「合う・合わない」があります。
じゃがいもを美味しく
そして自分の体に合う形で取り入れましょう。
気虚タイプ(疲れやすく、元気が出ない人)
シンプルに茹でて、オリーブオイルと塩で。
胃腸にやさしく、エネルギー補給に◎
冷え性タイプ(手足が冷たい、寒がりな人)
しょうが・ねぎ・味噌と合わせて
温かい汁物に。

体の内側から温めます。
乾燥タイプ(肌や喉が乾きやすい人)
牛乳や豆乳と煮て
ポタージュに。

潤い補給と栄養吸収の両立に◎
むくみやすいタイプ
じゃがいもを蒸して
大葉や黒こしょうを添えると
余分な水分を流しやすくなります。

心も体もほぐれる、やさしい一皿を
仕事や子育て
日々の忙しさで
「心に余裕がないな」と感じるとき。
ふかしたじゃがいもを口に入れると
不思議と安心感が広がります。
それは、じゃがいもが
体の中心=胃腸を支えてくれるから。
胃腸が整うと
私たちの気持ちも自然と落ち着くのです。
漢方では
「脾は思を生じる」といわれ
考えすぎや心配ごとが多いときは
脾が弱りやすいとされています。

そんなときこそ
じゃがいものような
“地に足のつく”食材が
心身のバランスを
取り戻す助けになるでしょう。
まとめ&おわりに
ほっこりとした甘みで
心も体もゆるめてくれるじゃがいも。
「脾(胃腸)」と「胃」に働きかけ
エネルギーを補い
消化を助ける力を持ちます。
つまり、
疲れやすい人や
胃腸が弱り気味の人にとって
まさに“日常の薬”のような存在です。
秋の半ばに
家族みんなで囲む温かい料理に
取り入れてみてはいかがでしょうか。
食卓の“常備菜”は
あなたの体と心を支える
“常備薬”にもなるかもしれませんよ。
