最近、「体にやさしい食事をしたい」
「体調を整えたい」と思って
食事を見直す方が増えています。
嬉しい限り💗
そんなときに注目したいのが
漢方や薬膳の考え方です。
その中でも、特に
食べ物の性質を理解するための
基本となるのが
「五味(ごみ)」と「五性(ごせい)」という考え方。
一見、
難しそうに聞こえるかもしれませんが
実はとても実用的で
知っているだけで
毎日の食事の選び方が変わる
ヒントになるんです💡
今回は「五味・五性」について
わかりやすく、
そして日々の生活に取り入れやすいように
ご紹介します。
「五味」って何?食材がもつ5つの味
「五味」とは、
食べ物がもつ5つの基本的な味のこと。
「五行理論」に基づいて
5つの種類
「酸・甘・辛・苦・鹹(かん)」に分類したものです。

五行理論に基づいているため
対応する
臓腑や経絡が定められています。
単純に舌に感じる味だけで
分けられているのではなく、
その味が持つ機能によって分類されています。
食材によっては1つの味だけでなく
複数の味を持っているものも
少なくありません。
これらの味は、それぞれ異なる臓腑と関係していて
たとえば
「甘」は脾(胃腸)を補う
「酸」は肝を養う
といったように
五臓のバランスを整えるために使われます。
1. 甘(かん)
体を補い、元気を与えてくれる味。
疲れたときや
体力を回復したいときに役立ちます。
滋養強壮に優れ
痛みや緊張を和らげると言われています。
気と血を補い
胃脾を整える効果があります。
疲れた時に
甘いものが欲しくなるのは
そのためだと言われています
米、いも類、カボチャ、ナツメなど
2. 酸(さん)
引酸っぱい味には
筋肉を引き締める作用
「収斂(しゅうれん)作用」があります。
収斂作用には
「止める」効果もあるため
・咳止め
・下痢
・出血にも良いとされています。
引き締める働きがあり
汗や体液の
過剰な排出を抑えてくれる味。
感情の高ぶりを落ち着かせる作用も。
梅、酢、レモン、ザクロなど
3. 苦(く)
熱を冷まし、
余分なものを体外に出す働きがある味。
体にこもった熱を取ったり
デトックスしたいときに。
苦味は熱や水分・老廃物を
体内から排出する作用を持っています。
頭に上った気を降ろし
咳や吐き気を止める作用もあります。
そのため、漢方の風邪薬に
苦いものが多いといわれています。
ゴーヤ、セロリ、苦茶、緑茶など
4. 辛(しん)
気や血の流れを促進し
発汗を促す味。
冷えや
風邪の初期に使われることが多いです。
気と血の流れを促進し
寒さを散らす作用があります。
風邪の初期症状に
”しょうが”が良いとされるのは
辛味で寒邪を散らすため。
辛味の中には
身体を温めるものと
冷ますものがあるので注意が必要です。
代表的な食材:ネギ、生姜、にんにく、シナモン、唐辛子など
5. 鹹(かん/えん)
見慣れない「鹹」という字は
『しょっぱい味』を指します。
柔らかくし
塊を解く作用があります。
体の中の詰まりや
滞りを改善する働きも。
塊など硬いものを
柔らかくする作用があるので
便秘の解消や
しこりやできものを
柔らかく解く効果があります。
昆布、わかめ、味噌、塩など
伝統的には「五味」といいますが
実際には「淡味」を加えた
「六味」といわれることもあります。
「淡味」は脾臓や五臓と関わりが深く
身体の湿を取り除いたり
脾の働きを促進
食欲を誘うといった働きがあります。
代表的な食べ物は
・はとむぎ
・冬瓜
・白菜 などが該当します。
「五性」って何?食べ物の“温度”を知る
もうひとつ大切なのが「五性」。
これは、食べ物が体にもたらす
“温冷”の性質を表したものです。
その性質を五行理論に基づいて
「熱性・温性・平性・涼性・寒性」の
5つに分類したものが『五性』です。

旬の食材は
その季節・その土地に
ふさわしい性質を持っているものが多いのが
特徴です。
例えば、
寒い地方の食材は
体を温める食材が多く採れる
食養生ではこの意味からも
その土地の
旬のものを食べることが
身体を健康に保つと考えられています。
1.寒性(かんせい)
体の熱を冷ます。
熱っぽいとき、炎症があるときに適しています。
スイカ、きゅうり、緑豆、セロリなど
2.涼性(りょうせい)
寒性ほど強くないけれど
体をゆるやかに冷やす性質。
熱を冷ましつつ、優しく整えてくれます。
大根、トマト、豆腐、梨など
3.平性(へいせい)
体を冷やしも
温めもしない中庸の性質。
体質を問わず
誰でも食べやすいものが多いです。
米、人参、じゃがいも、ハトムギなど
4.温性(おんせい)
体を温める働きがあり
冷えが気になる人におすすめ。
血行を良くし
元気を補ってくれます。
ネギ、にら、鶏肉、シナモンなど
5.熱性(ねっせい)
体をしっかり温め
エネルギーを高めます。
寒さに弱い人
体力が落ちているときに。
生姜、唐辛子、羊肉、酒など
季節や体調に応じて
これらの性質を意識して食材を選ぶと
体のバランスが整いやすくなります。
「五味・五性」をどうやって使う?
では、実際に
「五味・五性」を
どのように日常の食事に
取り入れていけばよいのでしょうか?
大切なのは、
“今の自分の体調”や
“季節”に合わせて選ぶことです。
体が冷えていると感じるなら…
・温性〜熱性の食材を選ぶ(ネギ、しょうが、鶏肉など)
・甘味や辛味をうまく取り入れて、気と血の流れを良くする
暑さでバテ気味なら…
・寒性や涼性の食材で熱を冷ます(スイカ、豆腐、トマトなど)
・苦味をうまく使って体内の余分な熱をデトックス
疲れやすいときには…
・甘味を持つ平性の食材
(お米、ナツメ、山芋など)で脾胃を補う
・あまり刺激の強い辛味や熱性のものは控える
薬膳では、
「これを食べたら必ず健康になる」
というよりも、
「今の自分に合うかどうか」
がポイント💡
毎日の料理をするときに
「今日はちょっと冷えるから温める食材にしようかな」
「最近ストレスがたまってるから、
肝を養う酸味のあるものを意識しよう」
など
少し意識を向けるだけでも
体は確実に応えてくれます。
「五味・五性」は、体と心のコンパスになる
私たちは日々
気づかないうちに
食べ物の影響を受けています。
「なんだか今日はだるい」
「イライラしやすい」
「食欲がない」――
そんなときこそ
五味・五性の考え方が力になってくれます。

たとえば、春は肝の季節と言われ
ストレスやイライラを
感じやすくなります。
そんなときには「酸味(肝を助ける)」や
「苦味(熱を冷ます)」のある食材を意識すると
気持ちが落ち着いてきたりするんです。
季節の移ろいとともに
私たちの体も変化しています。
五味・五性は
そうした変化に寄り添い
整えてくれる自然の知恵。
漢方や薬膳を
もっと身近に感じられる第一歩として
ぜひ日々の食事の中で活かしてみてください。
まとめ&おわりに
漢方や薬膳で使われる「五味・五性」は
食材の持つ性質や働きを示す
大切な考え方です。
難しく考える必要はなく
「今日は体を温めたいな」
「最近疲れやすいな」
そんな自分の声に耳を傾けながら
食材の選び方を工夫してみてください。
五味・五性の知識を味方にして
もっと心地よい毎日を過ごせますように🌿
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https://www.matsuihsp.or.jp/shokunai/html/study/study34.htm 「食養の基本」松井病院食養内科