はじめの薬膳:脂がのった「さんま」は秋の薬膳食材!食べ方で元気を養いませんか

秋の食卓に欠かせない魚といえば
「さんま」

 
 
 

焼き網から立ちのぼる香ばしい匂いに
思わず食欲がわいてくる方も
多いのではないでしょうか。

今年はさんまが豊漁とのニュースもあり
手に取りやすくなっているようです。

 
 
 

せっかくの旬の味覚だからこそ
薬膳の視点で
「体にどう働きかけるのか」を知って
より健やかに楽しみたいですね。

さんまが秋に旬を迎える理由

さんまは夏の終わりから秋にかけて脂がのり
旨味と栄養が最も高まります。

 
 
 

海を北から南へ回遊する過程で
脂肪分を蓄えるため
この時期がまさに「食べ頃」

 
 
 

薬膳の考え方では
旬の食材はその季節に不足しがちな
エネルギーを補ってくれる存在です。

 
 
 

秋は乾燥や冷えが
少しずつ忍び寄る時期。

 
 
 

脂がのったさんまは体をうるおし
心身を秋仕様に切り替えてくれる
サポート役といえます。

 
 
 

自然のリズムに合わせて
旬のものをいただくことは
体調を整える大きなポイントになるのです。

「さんま」の五味・五性

【五味】:甘味・鹹味(旨味)
【五性】:平性(バランスがとれた性質)

さんま」の薬膳的効能

補気養血:気を補い、血を養う
健脾和胃:胃腸を整える
潤燥:乾燥を防ぎ、潤いを与える
安神:心を安らげる
活血化瘀:血の巡りを良くする

薬膳では魚介類は
「補気(気を補う)」
「活血(血の巡りを良くする)」
の働きを持つとされます。

 
 
 

さんまも例外ではなく
以下のような効能が期待できます。

さんまの効果効能

血を補い巡りをよくする
  貧血気味や疲労感が強い方におすすめ
脾胃を助ける
  胃腸を養い、食欲を促進する
乾燥をうるおす
  秋の咳や肌のカサつきを和らげる
気持ちを安定させる
  脂の旨味が心を満たし、リラックス効果も

また、さんまの脂に含まれるDHAやEPAは
現代栄養学的にも血液をサラサラにし
動脈硬化予防や脳の働きを
サポートすることで知られています。

薬膳的な視点と現代栄養学が
同じ方向を示しているのも
さんまの魅力のひとつですね。

注意点と体質別アドバイス

どんなに体に良い食材でも
「食べ過ぎ」や
「体質に合わない食べ方」には注意が必要です。

胃腸が弱い人は要注意

さんまは脂が多い魚。

 

脾胃が弱っている方は
消化不良や胃もたれを起こすことも。

 

大根おろしや柑橘を添えると
消化を助けてくれます。

熱がこもりやすい人は控えめに

体に熱を持ちやすい「陽盛タイプ」の人が
さんまを食べ過ぎると
のぼせや吹き出物につながることがあります。

 

大根や白菜など
「清熱作用」のある野菜と組み合わせると
バランスがとれます。

陽盛タイプとは?
薬膳や中医学の体質分類のひとつに
「陽盛(ようせい)タイプ」があります。
 
これは、体の「陽気(熱エネルギー)」が
過剰になりやすい体質を指します。
 
エネルギッシュで活発な一方
次のような傾向が見られるのが特徴です。
 ・顔が赤くほてりやすい
 ・のぼせやすい、汗をかきやすい
 ・イライラしやすい、口が渇きやすい
 ・便秘や吹き出物が出やすい

こうした方が脂の多いさんまを
たくさん食べると
体内の熱がさらにこもり
吹き出物や
胃の不快感につながることも。

 

そのため
大根・白菜・きゅうりなど
「清熱作用」をもつ食材と一緒にいただくと
体のバランスが整いやすくなります。

冷えが強い人は生姜をプラス

 一方で冷え体質の方は
さんまの「平性」をうまく取り入れるために
生姜や味噌汁など
温性の食材と合わせるのが◎。

さんまを美味しく薬膳的にいただく工夫

焼きさんま+大根おろし

消化を助け
余分な熱を取り除く組み合わせ

煮つけに生姜をプラス

冷え体質や
胃腸虚弱な方におススメです

さんまのつみれ汁

脾胃を温め、消化力をサポート!

さんまの炊き込みご飯

ご飯の甘味と組み合わせることで
気を養い
満足感も高まる

薬膳は「食材の組み合わせ」が鍵。

旬のさんまを美味しく
体にやさしく取り入れる工夫を楽しみましょう。

さんまにまつわる文化と季節感

日本では古くから
「秋刀魚」という字をあてるように
さんまは秋を象徴する魚でした。

 
 
 

焼きさんまにすだちを搾っていただく風景は
まさに日本の秋そのもの。

薬膳的な効能を意識しながら
こうした文化的背景を味わうことも
心を豊かにする養生のひとつといえます。

まとめ&おわりに

さんまは秋の体にぴったりの食材。

 

 

気血を補い
乾燥を潤し
心を安定させてくれる力を持っています。

 
 
 

とはいえ、胃腸が弱い人や
熱がこもりやすい人は
食べ方を工夫することが大切。

 
 
 

大根おろしや柑橘、生姜などと
組み合わせれば、
体質に合わせた調整ができます。

 
 
 

薬膳は
「自分に合った食べ方を見つける」ことが肝心です。

 
 
 

旬を意識して食べることは
自然のリズムと調和し
体調を整える大きな養生法になります。

 
 
 

食卓で秋の恵みを味わいながら
心も体も満たされる時間を楽しみましょう。

秋の味覚「さんま」を
ただ美味しくいただくだけでなく
薬膳的な知恵を取り入れて
体にやさしい一皿にしてみませんか?