漢方の基礎知識:「内因」でも「外因」でもない病因『不内外因』

漢方・東洋医学

前回・前々回と
病気の原因になる「内因(五志・七情)」と
「外因」について
まとめてきました。

漢方の世界では
「内因」でも「外因」でもない病因を
「不内外因」
と呼んでいます。

 
  
   

この3つを
病因とする考え方を
『三因論』
といいます。

  
  
  

今回は原因の3つ目
「不内外因」についてです。

  
  
  

下の原因項目からも分かるように
現代においては
非常に存在感のあるものであり
大きく健康と関わってくる
病因
でもあります。

  
  

  

最近では
「不内外因」というカテゴリーはあまり使われず
「外因」に包括されることが多くあります

  
  
  

せっかくですので
「不内外因」の項目に沿って
解説を進めてゆきますね。

不内外因(ふないがいいん)とは

「不内外因」とは大きく分けて

 ・飲食失節
 ・労逸
 ・五労
 ・体質
 ・外傷(※「外傷」を外因とする文献やサイトもたくさんあります)

が、あります。
 

昔に比べれば
衛生環境の改善は進みましたが、
長時間労働や運動不足といった
現代ならではの原因として
「不内外因」は少なくありません。

飲食失節(いんしょくしっせつ)

簡単にいうと
飲食の節度がなくなることを
さします。

  

食べ過ぎである「過食」
胃脾に負担をかけ
下痢や便秘や肥満などのリスク
があります。

  

食が細すぎる「小食」は、
栄養不足のため気血の不足や
抵抗力の低下
を招きます。

  

偏った食事を続ける「偏食」
栄養の偏りを生じさせ
身体への影響
を及ぼします。

労逸(ろういつ)

労逸とは
過労を意味する「労倦(ろうけん)」
安静を意味する「安逸(あんいつ)」を合わせた言葉で
労働の節度を表しています。

  

「労倦」である
過度な仕事・勉強や遊び
などは
気血を消耗し
心身ともに疲労させます。

  

「心労」も悩みすぎること
気の巡りの妨げである
「気滞」
を引き起こします。

  

反対に
休みすぎる怠惰な状態が続く「安逸過度」
気血の停滞を起こし
胃脾を衰えさせ
やる気が出ない
食欲がわかないといった
症状が見られるようになります。

五労(ごろう)

同じ動作をし続けることによって
引き起こされる病因
をさします。

 ・久視(きゅうし):目の酷使
 ・久臥(きゅうが):寝たきり
 ・久坐(きゅうが):座り続ける
 ・久行(きゅうこう):歩き続ける
 ・久立(きゅうりつ):立ち続ける

 

体質(たいしつ)

身体の機能低下になどが
原因になって生じる病理的な代謝物
である
「痰飲」「瘀血」
病気の原因となることがあります。

痰飲:病邪・感情・食生活の乱れによって
   肺・脾・腎に不調を生じる水分代謝異常物のこと。
   痰飲が臓腑に停滞することによって
   不調が生じさせます。

瘀血:血の循環が悪くなり
   臓腑や経絡に停滞した状態のこと。
   栄養の運搬する機能が低下し
   痛みを生じさせます。

おわりに&まとめ

3回にわたって
病気の3つ原因について
調べてきました。

  
  
  

どれもこれも
身体悪そうなものばかりで
これらが影響を及ぼしているのだと考えると
ストレスなく生活することなんて
不可能だなぁと感じました(*_*;

  
  
  

出来る限り原因を
排除する努力も必要ですが
それに耐えうる強い身体と
心も大切だと思います!

  
  
  

今回の「不内外因」は
特に現代を生きる私たちにとって
大きな障害になりうるものばかりでしたね。

  
  
  

五労なんて、最たるもの!

  
  
  

こういった原因にも注視しながら
健やかな生活を心がけていきましょう♪

●参考文献・サイト●
「プロが教える東洋医学のすべてがわかる本」 平馬直樹 ナツメ社
https://www.123do.co.jp/cgi-bin/medicine/diary.cgi?field=5 一二三堂薬局「なぜ病気になるのか」


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