じめじめとした湿気に
なんとなく体が重だるい…
強烈な夏の暑さが続くこの時期
食欲が落ちたり
疲れやすくなったりしていませんか?
実はこの不調
「湿気」が関係しているかもしれません。
中医学では
湿気の多い季節には
「脾(ひ)」=胃腸の働きが
弱りやすいとされています。
脾は、体に必要な栄養や水分を吸収し
全身に巡らせる働きを持つ臓腑
ここがうまく働かないと
エネルギー不足やむくみ
消化不良といった不調が
現れやすくなります。
そこで今回は、
「湿気対策」と「健脾」の
両方にアプローチできる
【健脾の薬膳】をご紹介します。
体の中から軽やかに
夏を快適に過ごしたい方へ🎐
季節に寄り添ったやさしい食養生
始めてみませんか?
湿気と「脾」の関係
湿気が多いこの季節
外の空気だけでなく
体の中にも
「湿」がたまりがちです。
中医学ではこの湿を
「内湿」と呼び
体の巡りを妨げ
重だるさや
食欲低下の原因になるとされています。
とくに弱りやすいのが「脾(ひ)」

東洋医学では
「脾は後天の本」と言われ
胃とともに
“消化吸収”を担う大切な存在です。
脾は、食べたものを消化吸収し
「気(エネルギー)」や
「血(けつ)」を作る源。
湿気の影響で脾が弱まると
栄養がうまく取り込めず
・元気が出ない
・お腹が張る
・食欲がない
といった状態になりがちです。
また、冷たいものや
生ものの摂りすぎも
脾を冷やし
機能を弱める要因に。
つまり、夏バテ対策には
「脾を元気にすること(=健脾)」が
とても大切なんです。
胃腸をいたわる「健脾薬膳」
では、どうすれば
脾の働きを助け
湿気から
体を守ることができるのでしょうか?

ポイントは、
「健脾(けんぴ)」と「去湿(きょしつ)」 💡
脾を元気にして
たまった湿を排出しやすい状態をつくる。
そんな食材を
日々の食事に取り入れていくことが
大切です。
陳皮(ちんぴ):みかんの皮を干したもの
香りが良く、胃の働きを助ける
うるち米・もち米:脾を養い、消化にやさしい
(特に白米のおかゆ)
キャベツ:胃の粘膜を整える。
なつめ:血を補い、脾の働きを助ける。
甘味があり心もほっとする。
はと麦:利水効果が高く、むくみに◎
緑豆:体の熱と湿気を取ってくれる
シソ・ミョウガ:香りで気の巡りを促し、食欲UP
食欲がないときは
無理して食べる必要はありませんが
「重すぎず、でも栄養のあるもの」
を選ぶのがポイント。
おかゆやスープなど
温かく消化の良いものが
オススメです。
夏にうれしい!健脾&湿気対策レシピ
鶏むね肉と冬瓜の香味蒸し〜胃腸にやさしく、湿も追い出す!冷やしすぎない薬膳おかず〜

【材料(2人分)】
鶏むね肉…1枚(約250g)
冬瓜…200g(皮とワタを取って薄切り)
しそ…3枚(せん切り)
みょうが…1個(薄切り)
長ねぎ(白い部分)…1/3本(みじん切り)
陳皮(あれば)…小さじ1/2(乾燥したものを砕いて)
【下味用】
酒…小さじ2
塩…少々
片栗粉…小さじ1(鶏肉にまぶす)
【香味ダレ】
醤油…大さじ1
酢…小さじ1
ごま油…小さじ1
はちみつ…少々(コク出しに)
作り方
- 鶏むね肉は薄くそぎ切りにし
下味をもみ込み
片栗粉をまぶしておく - 冬瓜は薄く切って
耐熱皿に敷き
その上に鶏肉を並べる - ふんわりとラップをかけ
電子レンジ(600W)で
5〜6分加熱
鶏肉に火が通ればOK - 蒸し上がったら器に盛り
しそ・みょうが・長ねぎ・陳皮を
散らす。 - 香味ダレをかけて完成!
🍀薬膳的なポイント🍀
鶏むね肉…高たんぱくで脾胃を補い
疲労回復にも◎
冬瓜…“利水”作用があり、余分な湿を排出
むくみや暑気あたりに
陳皮・しそ・みょうが…香りで「気」を
巡らせ、食欲不振やだるさを軽減
ねぎ・ごま油…胃を温め
冷えすぎ防止にもひと役
“胃”と”脾”をいたわる暮らしの習慣
薬膳は
「食べる」ことだけではありません。
日々の習慣にも
“健脾”のヒントがたくさん隠れています。
朝の白湯習慣
朝起きたら、
コップ一杯の白湯をゆっくり飲む。

これだけで胃腸がゆっくりと目覚め
内臓の血流が促進されます。
よく噛んで食べる
よく噛むことで唾液が分泌され
胃への負担を減らします。
特に夏は冷たい麺類を
流し込むように食べがちなので
意識的にゆっくりと。
冷たい飲食を控える
暑いからといって
氷入りのドリンクや
アイスを頻繁に摂ってしまうと
胃腸が冷え
健脾どころか“脾を傷める”原因に。

香りを楽しむ
シソやミョウガ、ゆず、しょうがなど
香りのある薬味は
脾を元気にしてくれる
自然のアロマセラピー。

食欲が落ちたときには
五感に心地よい刺激を
与えてみましょう。
おすすめの食材と日常の工夫
毎日がっつり薬膳料理でなくても
大丈夫✨
以下のような
工夫を取り入れるだけでも
体はしっかり応えてくれます。
朝食に「白がゆ」と
トッピングにすりごまや梅干し、温泉卵

味噌汁に
ショウガやみょうがをプラス
お茶には
「はと麦茶」を飲む
湿気が多い日は
揚げ物や冷たいものは控えめに
こうした「ちょっとした薬膳」の積み重ねが
健やかな胃腸を支えてくれます。
まとめ&おわりに
夏の湿気は
体にとって
じわじわとダメージを与える存在。
特に「脾(胃腸)」が弱ると
元気が出ず
夏バテが長引いてしまいます。
今回ご紹介した薬膳の考え方
「健脾(けんぴ)」と「去湿(きょしつ)」
を意識することで
体の中から元気を整え
軽やかに夏を乗り切ることができます。
健脾は「特別な薬膳」ではなく
日々の暮らしの積み重ねです。
食材の力と
やさしい習慣を上手に味方につけて
夏バテ知らずの
元気な胃腸を育てましょう。