この時期、
夏の疲れを感じていらっしゃる方も
多いかと思います。
お盆を過ぎて
暑さにも慣れたものの
蓄積された疲れは
簡単には解消できないなぁと
感じている方もいらっしゃるはず。
少し涼しくなる気配を感じ
夏の終わりを感じること時期こそ
一番体調を崩しやすい時だという
お医者さんもいらっしゃいます。
漠然と「疲れ」と言われていますが
どんなものなのかを
漢方の見解とともに
考えていこうと思います。
「疲れ」「痛み」「発熱」は体からのアラート(警告)
「疲れ」
「痛み」
「発熱」は、
体から発せられる
「3大アラート(警告)」といわれています。
これらを感じなければ
人は変調や異変に気づかず
そのままの生活を続けてしまうでしょう。
放置すれば
深刻な状態にまで
異変が進行してしまい、
取り返しのつかないことが
あるかもしれません。
その中でも「疲れ」は
「痛み」や「発熱」に比べて
見逃したり
我慢したりしがちです。
でも、何の対処もせずに放っておくと
疲れはどんどん蓄積されていき
回復にも時間がかかるようになります。
漢方では「疲れ」を不調と捉え
しっかりと養生し
改善するべき問題として扱っています。
そもそも「疲れ」の状態とは
長時間の運動や労働、
精神的な作業をすることによって
体に起こる生理的な現象が
「疲労」です。
一般的には
心身が消耗し、
回復のための休息を
必要としている状態とされています。
現代の「疲れ」・「疲労感」の大きな原因、2つ
現代の「疲れ」や「疲労感」の原因は
大きく分けて
2種類あると言われています。
①肉体的な疲労:「末梢性疲労」
体力の消耗
食生活の不摂生
睡眠不足などにより
体内のエネルギーや
機能が低下している場合です。
一般的に「疲れ」・「疲労」とは
こちらを指すことが多く
生命活動に必要なものが
不足しているために
疲れを感じていると考えられます。
②精神的な疲労:「中枢性疲労」
精神的ストレスや情緒変動により
体内の「気」の流れが
停滞している場合です。
必要なエネルギーや
栄養が満たされているとしても
「気」の流れが悪いために
有効に使うことができず
疲労感が積み重なっていきます。
デスクワークなどで
視神経や脳が
緊張した状態が続くことによって起こる
「神経的疲労」
つまり、頭の疲れも含まれます。
「疲れ」・「疲労感」は脳からのSOS信号
現代の「疲労」の原因は、
ストレスによる
脳の疲れが主だと考えられ、
身体症状は
その結果と考えられています。
「疲労」が溜まると、
単に「疲れた」
という状態にとどまらず、
仕事や勉強などの
効率を低下させたり、
ミスが生じやすくなったりします。
こうした症状は
脳が発する
SOS信号であることが
分かってきています。
「疲労」を感じる部分は
体の部分
いわゆる筋肉や骨・内臓ではなく
脳であり、
疲れが出てくると
脳は自らの活動水準を下げて
眠気やだるさ
集中力の低下
身体各部の違和感(頭痛や肩こりなど)といった
いわゆる「疲労感」を演出することにより
休息を督促し
体を守っているというのが
最近の考え方です。
漢方での「疲れ」・「疲労感」の考え方
漢方では、
体内には生命活動をコントロールする
「気(き)」・「血(けつ)」・「水(すい)」
があり、
それらのバランスが崩れた状態が
不調の原因であると考えられています。
漢方では、
私たちが元気よく活動するパワーの源
生きていくエネルギーそのものを
「気(き)」と呼びます。
やる気、気力、根気、勇気
何か行動を起こすときの表現には
「気」という言葉
が使われています。
「気」は
睡眠などの休養や
健康的な食事から
補うことができる、
生命活動に欠かせないエネルギー
これが不足した状態が
「疲れ」・「疲労」だと
考えられています。
または「気」・「血」の流れが
阻害された結果、
身体のだるさや、
頭重感を生じる場合があります。
①全身の「気」・「血」不足
脾・胃の虚弱、過労などにより
気血の生成の働きが
低下したために生ずる
②元気の源である「腎気」の不足
加齢や先天的な不足
慢性疾患などが原因。
生命エネルギーである
原気がなくなるため
全身のだるさが生じる。
③痰湿により生じる不快感
身体に停滞した「湿」は
重濁性の「痰濁」となり
めまいや重だるさ
悪心を感じさせるようになる。
なかでも疲れ・疲労感は
「気」のアンバランスを整えたり
「気」を強めたりすることが
大切となってきます。
加えて、体に栄養を運ぶ
「血」を補う必要があります。
養生を行なうことで
胃腸も丈夫になって食欲がわき
栄養分の吸収も速やかになり
元気な体を取り戻す
すなわち疲労の回復に繋がります。
漢方的「疲れ」・「倦怠感」の養生方法
「気」は主に
眠っている夜の間に作られます。
気が不足していると
なかなか起きられず
朝からだるかったり、
何をするにも
やる気が起きなかったり
すぐに疲れてしまったり
日常生活にも影響が出てしまいます。
また、
食べものを胃腸で消化する際にも
「気」を使い
転化させます。
食後に倦怠感や眠気が現れる人は
「脾(ひ)」の働きが
鈍っているかもしれません。
「脾」は
消化吸収した栄養を
エネルギーに変える働きがありますが
「脾」の働きが弱いと
逆に「気」を消耗してしまいます。
上記のことを踏まえた上で
「疲れ」の養生ポイントを
まとめてみました。
月並みかもしれませんが
西洋医学も
東洋医学も
やはりここに
終結するんだなと感慨深いです。
まとめ&おわりに
一般的には「疲れ」・「疲労」は
病気ではないと考えられています。
(慢性疲労症候群という病的な状態をは除く)
しかし病気ではないからと言って
放置していいわけではなく
積極的に回復に努めることが
大切だと思われます。
常日頃、自分自身の体調に注意をはらい
脳が発信する「疲労感」という
SOS信号を素直に受け入れ
昼寝などの休息や睡眠
休養
栄養補給という
疲労回復の方法を
取り入れることが必要となります。
漢方薬の中にも
「気」を補う
「補気剤」と呼ばれる薬もあります。
胃脾を整え
栄養を効率よく
取り込む薬などもあります。
何度もこのサイトに
書かせていただいていますが、
漢方薬を
素人判断で購入するのは
やめたほうがイイかと思います。
その方の現状の体調や体質
いろんなことを加味しながら
専門家から出してもらうのが
一番効率的で、
身体にもお財布にも
負担のかからない方法ですよ。