はじめの薬膳:夏バテの味方「なす」🍆夏から秋をスムーズに過ごすために

暑さが少しずつ落ち着き
朝晩の風に
秋の気配を感じるようになる
この時期

 
 
 

「夏の疲れが抜けない」
「なんとなく体がだるい」
「食欲が戻らない」

――そんな声をよく耳にします。

 
 
 

暑い夏の間に
体力や水分を消耗し、
胃腸も冷たいものや冷房で
弱りがち。

 
 
 

すると秋口に差しかかる頃
だるさやむくみ
便秘
時には冷えまで
出てきやすくなる
のです。

 
 
 

そんな季節の変わり目に
おすすめしたいのが、
夏野菜の代表であり
秋にもおいしい「なす」🍆

薬膳の視点で見ると
なすはまさに
“夏から秋をスムーズに過ごす”ための
心強い食材
なのです。

なすの薬膳的性質とは?

なすは古くから
薬膳素材として親しまれており
「茄子(かし)」
と呼ばれてきました。

【五味】:甘味
【五性】:涼性
【帰経】(作用する臓腑):脾・胃・大腸

なすは「涼性」の食材。

 
 
 

体の熱を冷まし
余分な水分を排出する
「利水作用」
があります。

また、脾や胃を助け
便通を促すことで
夏に疲れた
消化器を整えてくれるのも
大きな魅力。

 
 
 

つまり、
夏にこもった熱や湿を追い出しながら
秋口に弱りがちな
胃腸をやさしくケアしてくれるのが
「なす」
なのです。

夏~秋の不調に、なすが効く理由

暑さで汗をかくと
体内の「気(エネルギー)」や
「津液(しんえき:体液)」が失われがち

 
 
 

冷たいものばかり摂ると
脾胃の働きが落ち
消化吸収力が低下しやすく
なります。

 
 
 

この「脾胃の弱り」こそが
夏バテの根本原因
ともいえるのです。

なすには
体にこもった熱を取る「清熱作用」
水分代謝を助ける「利水作用」
さらには便秘を改善する「通便作用」
があります。

 
 
 

これらの働きにより
体にたまった余分な熱や
老廃物を
スムーズに排出
してくれます。

気をつけたい「食べすぎ」と「冷えすぎ」

一方で、なすには
「涼性」の性質があるため
冷えやすい体質の方には注意が必要です。

こんな方は「なすを食べる際に工夫を」

・冷房の効いた部屋で長時間過ごしている
・お腹を下しやすい
・手足の冷えが気になる
・冷たい飲み物をよく飲む

このような方が大量に
しかも冷たい調理法(サラダや浅漬けなど)で
なすを摂ると
かえって体が冷えて
不調の原因になることも。

 

 
 

薬膳では
「体を冷やす性質を中和する」ために
温性の食材や
スパイスと組み合わせて調理する
という
知恵があります。

夏のなすと秋のなす、その違いは?

「秋なすは嫁に食わすな」
という言葉を
聞いたことがあるかもしれません。

これは、なすが
体を冷やす食材だから
妊婦(当時の「嫁」)にはよくない
という昔ながらの
考え方のひとつともいわれています。

 
 
 

実際、「夏のなす」と「秋のなす」には
薬膳的にも
食感や作用に微妙な違いがあります。

夏のなす:熱と湿を取り去る「清熱利湿」の役割

夏に採れるなすは
やわらかくみずみずしいのが特徴

 

体にこもった
「暑さ(熱)」を冷まし
汗や湿気によって
たまりやすくなる「湿」を
追い出す働きが強め
です。

 

この時期にピッタリなのは
加熱して
胃腸にやさしく取り入れる方法。

 

冷やしすぎを避けながら
余分な熱と湿を
しっかり追い出せます。

秋のなす:乾燥の季節には「食べ方」に注意

一方で、
秋のなすは皮がやや硬く
実が締まっている
のが特徴です。

 

涼しくなってくる秋は
空気も体も乾燥しやすくなり
体を冷やしすぎると
「冷え」が表面だけでなく
内側から深まる恐れがあります。

 

そのため、
秋になすを食べるときは
「しょうが・味噌・にんにく」など
温める性質の食材と組み合わせ
必ず加熱して摂ることがポイント

薬膳では、同じ食材でも
“いつ・どのように食べるか”が
とても大切✨

 
 
 

季節に合った食べ方を意識することで
なすは夏だけでなく
秋口まで心強い味方になります。

効果を高める!なすの調理法と薬膳アレンジ

加熱して“涼”を“穏やかに”

なすは「加熱」することで
体を冷やす性質がやわらぎます

特に、
油との相性がよく
体内での吸収を助けてくれる
ビタミン類も
効率よく摂取できます

おすすめの組み合わせ食材

しょうが(温性)
 体を温め、なすの涼性を和らげます
 炒め物や味噌汁におすすめ

にんにく(温性)
 消化を助け
 夏の疲労回復にも一役買います

みそ(温性)
 胃腸を整え
 発酵食品の力で免疫力もアップ

しそ・みょうが
 香りで胃の働きを助け
 湿気を追い出す作用があります

調味料との組み合わせ調理例

なすとしょうがの味噌田楽

胃腸にやさしく、夏バテ予防に
温性の味噌としょうがでバランスよく

なすとトマトのラタトゥイユ

涼しげな見た目でも
軽く火を通せば
体を冷やしすぎずに済みます

なすの薬膳カレー

カレーのスパイスに
鶏肉やしょうが
ためねぎなどと合わせれば
滋養強壮カレーに

⚠️注意したい点⚠️

なすは「涼性」の食材なので
冷えやすい方は食べすぎに注意が必要です。

 
 
 

特に秋に入ってからは
サラダや浅漬けなど
生のまま大量に食べるのは避け
必ず加熱して温性食材と一緒に
取り入れることをおススメします。

また、秋は空気の乾燥とともに
腸も弱りやすいため
なすの「通便作用」を活かすことは
便秘対策に有効です。

 
 
 

ただし「冷えによる便秘」の場合は
逆効果になることもあるので
自分の体質に合わせて
調整してみてください。

まとめ&おわりに

ナスは「涼性」で体の熱を冷まし
余分な水分を排出し
血のめぐりをよくする食材。

 
 
 

夏に食べることで
のぼせやほてり、むくみ、だるさといった
季節特有の不調を和らげてくれます。

 
 
 

特に紫色の皮に含まれる
ポリフェノールは抗酸化作用が強く
血液をきれいに保つ
サポート
もしてくれます。

ただし、冷やす力が強いため
冷え性の方や
胃腸の弱い方は食べすぎに注意し
温める食材と
組み合わせるのがポイントです。

 
 
 

焼きナスに生姜を添える
味噌炒めにするなど
調理の工夫で
体質や体調に合った
取り入れ方ができますよ。

 
 
 

これからは秋ナスの美味しい季節🍆

 
 
 

体を整えてくれる「ナス」を
食卓に加えることで
薬膳的に
バランスのとれた食生活を実現できますよ。

 
 
 

旬の野菜を取り入れながら
体の声を聴いて
日々の食事を整えていきましょう。