なんとなく体がだるい
疲れやすい
イライラする
そんなとき、
冷蔵庫の奥に眠っている「酢」が
実は体調を整えるための
鍵になるかもしれません。
「酢は体にいい」とよく聞きますが
なぜ体にいいのか
どんな不調に役立つのかを
薬膳的な視点から見てみると
もっと積極的に
取り入れたくなる理由が見えてきます。
今回は、酢の薬膳的な効果効能から
毎日の生活での活用方法や注意点まで
ご紹介します。
酢の「五味五性」
【五味】酸味
【五性】温/平性
【五味】酸味
酸味には「収斂(しゅうれん)」
の働きがあります。
「収斂」とは
気や汗、津液(しんえき:体液)などの
過剰な流出を防ぎ
体内に引き戻すような作用のこと。
つまり酸味のある酢は
体を引き締めたり
エネルギーを内に収めたりするのに
役立つのです。
【五性】温/平性
酢の種類によって異なりますが
多くの酢は体を温める「温性」
または穏やかな「平性」に属します。
そのため、冷え性の方にも
取り入れやすい調味料といえるでしょう。
「酢」の薬膳的効能
活血化瘀(かっけつけお):気血の巡りをよくする
酢には
「活血化瘀(かっけつけお)」といって
血液の滞りを改善し
巡りをよくする作用があります。
とくに「瘀血(おけつ)」と呼ばれる
血の巡りが悪くなった状態は
肩こりや生理痛、冷え、不妊など
さまざまな不調の原因になるとされています。
疲れやすい
生理痛が重い
顔色がくすむ
そんな症状がある方は
毎日の料理に酢をひとさじ加えるだけでも
巡りをサポートしてくれます。
イライラや気分の落ち込みに
酸味には
「肝(かん)」の働きを整える作用もあります。

薬膳では
イライラや情緒不安定
ため息が増えるなどの不調は
「肝の気」が滞っているサインと考えます。
酢の酸味は
この「肝の気」の流れをスムーズにするため
ストレスを感じやすい方や
気分の浮き沈みがある方にとって
心身を整える一助になります。

食欲増進・消化促進に
食欲がないときや
胃もたれしやすいときにも
酢は役立ちます。
酢の持つ酸味は
胃液の分泌を促し
消化を助ける働きがあるためです。

食欲不振のときは
酢の物や
酢を使ったドレッシングを
少し添えるだけで、
食事がぐっと進みやすくなります。
「酢」はどんな種類でも効果があるの?
一口に酢といっても
その種類はさまざまです。
米酢、黒酢、りんご酢、バルサミコ酢など
それぞれに風味や栄養素が異なります。
黒酢
血の巡りをよくする作用が強く
疲労回復にも効果的

ミネラルやアミノ酸も豊富です
米酢
クセが少なく料理に使いやすい

穏やかな効能で日常使いに最適です
りんご酢
フルーティーで飲みやすく
便通改善や美肌効果も期待できます

バルサミコ酢
甘味とコクがあり
肉料理との相性抜群✨

味わいを深めつつ
薬膳効果も得られます。
どの酢も
薬膳的な基本効能は同じですが
体質や目的に応じて選ぶことで
より効果的に取り入れることができます。
⚠️酢を取り入れるときの注意点
「酢」は体に嬉しい効果が多い一方で
摂り方によっては
注意も必要です。
胃が弱い人は空腹時を避けて
酸が強いため
胃の粘膜を刺激することがあります。
特に空腹時に
原液で摂取するのは避け、
必ず水や食事に混ぜて摂るのが
おすすめです。

摂りすぎには注意
酢を摂りすぎると
逆に胃腸を荒らしたり
冷えを悪化させたりすることがあります。
1日大さじ1~2杯程度を目安に
無理なく続けることが大切です。
歯への影響にも気をつけて
酸は歯のエナメル質を
溶かすことがあるため
酢を飲んだ後は
水で口をゆすぐようにしましょう。
豆知識:お酢は実は「万能薬」だった?
古代中国では
お酢は薬としても重宝されていました。
お酒と同様
「百薬の長(ひゃくやくのちょう)」と呼ばれ
殺菌作用や
防腐作用があることから、
感染症の予防や
食材の保存にも使われていたのです。

また、日本でも江戸時代には
「酢を飲むと夏バテしない」
といった知恵が広まり、
庶民の健康維持に役立っていたといいます。
現代でも
「疲れが取れる」
「便秘が改善する」など、
実感を語る声は多く
改めて見直したい調味料のひとつです✨
まとめ&おわりに
酢は、
ただの調味料ではありません。
薬膳の視点から見ると
心と体のバランスを整える
「小さな薬」のような存在
酢は五味の「酸味」
五性の「温性または平性」に属し
体を引き締め
気血の巡りをよくします。
肝の働きを整えて
ストレスやイライラにも
効果が期待できます。
胃腸を助け
消化促進や食欲アップにもひと役✨

一方で、
摂りすぎや
空腹時の摂取は控えるなど
適切な使い方が大切ですね。
毎日の食事にほんの少し
「酢」をプラスすることで
体がふっと軽くなったり
気持ちが安らいだりするかもしれません。
無理なく
でも意識して
取り入れてみてはいかがでしょう?