漢方の基礎知識:五色(ごしき)「五つの色彩」の食材を上手に取り入れるということ 〜彩りが、あなたの体を整える〜

「最近、なんとなく調子が出ないなぁ」
「食事に気をつけてるのに、イマイチ元気が出ない」
そんなふうに感じることはありませんか?

 
 
 

体は正直です。

 
 
 

食べたもので作られているからこそ
「バランスの良い食事」が大切だとわかっていても
実際には
『何をどう食べればいいのか』と
迷ってしまうことも多いですよね。

 
 
 

そんなときに、ぜひ意識してほしいのが
漢方・薬膳の基本概念のひとつ
「五色(ごしき)」という考え方です。

「五色」ってなに?色と内臓の関係

「五季」・「五味」・「五性」を
今までの記事で
それぞれまとめてきました。

食品にもそれぞれ色があり
それらを分類したものを
「五色(ごしき)」と言います。

五色とは
漢方や薬膳のベースとなる
「五行説」からきた考え方で
「青(緑)・赤・黄・白・黒」の五つの色を指します。

  
 
 

この五色はそれぞれ
五臓(肝・心・脾・肺・腎)と深く結びついていて
私たちの体のバランスを
整えるためのヒントを
与えてくれる色なのです。

対応する五臓主な食材例
青(緑)肝(かん)小松菜、春菊、ほうれん草、セロリ、緑茶など
心(しん)トマト、赤ピーマン、いちご、クコの実など
脾(ひ)かぼちゃ、とうもろこし、大豆、にんじんなど
肺(はい)大根、白菜、長ネギ、白ごま、梨など
腎(じん)黒豆、黒ごま、ひじき、黒きくらげなど

「五色を食べる」ということ

食事を作る際
もしくはコンビニなどで選択して購入する際

  
 
 

「5つの色をバランスよく選ぶと
 栄養のバランスを取ることが出来る」

  
 
 

というお話を
聞いたことはありませんか?
これが「五色」に該当します。

 
 
 

食物の成分のひとつに
「ファイトケミカル(フィトケミカル)」
というものがあります。

ファイトケミカル(フィトケミカル)とは?

植物の「色素・香り・アク」などに含まれる成分
紫外線や害虫から身を守るために
植物が自らつくりだしている
化学物質の総称
を指します。

「五色」と「ファイトケミカルの色」

 
 
 

これらは対応しているといわれています。

 
 
 

漢方や薬膳の「五色」と
ファイトケミカルの色と成分と効果が
どのように対応しているのかを

みていきましょう。

赤(心)

主なファイトケミカル:リコピン

・トマトやスイカ、赤ピーマンなどに含まれる
 赤色の色素
強力な抗酸化作用があり
 紫外線やストレスによる
 細胞のダメージから体を守る
・血流を促進し
 心の働きや血のめぐりをサポート
 夏の暑さ対策にも◎

黄(脾)

主なファイトケミカル:βカロテン

・にんじん、かぼちゃ、とうもろこしなどの
 黄色や橙色の野菜に多く含まれる
・体内でビタミンAに変換され
 粘膜や胃腸を保護する働きがある
・消化機能を高め「脾(胃腸系)」を
 健やかに整える力が期待
される。

緑(肝)

主なファイトケミカル:クロロフィル(葉緑素)

・小松菜、ほうれん草、モロヘイヤ、ブロッコリーなどに含まれる
 抗酸化作用が高い
デトックス効果が高く
 体内の不要なものを排出する働きをサポート
「肝」の解毒作用と深く関わり
 春の養生にもぴったり。

白(肺)

主なファイトケミカル:イソチオシアネート・アルピカイン

・大根、白菜、かぶなどの
 アブラナ科の白い野菜に多い
抗菌・抗炎症作用があり
 免疫力アップや呼吸器の健康をサポート
・肺や気道を清潔に保ち
 秋〜冬の養生に重宝される成分。

黒(腎)

主なファイトケミカル:アントシアニン・ポリフェノール

・黒豆、黒米、黒ごま、なすの皮などに
 含まれる紫〜黒の色素成分
・目や血管の老化を防ぐ抗酸化作用に優れ
 腎を支える力が強い
・アンチエイジングや疲労回復にも効果的とされる

 
 
 

これら「ファイトケミカル」が
人間の体の機能を活性化させる
「機能性成分」として注目
されています。

  
  
  

しかもその時節にあった
「色」の食材を食べることで
身体の不調や病気を予防
次の季節も健康に過ごせるような知恵
昔から人にはあったのでしょうね。

  
  
  

これら「五色」の知恵が
現代の栄養学として証明されたわけです✨✨

単体よりも、組わせて食べることが大切

薬膳では
「食材の相性」もとても大切
にしています。

 
 
 

たとえば
黒豆ご飯に白ごまを振りかければ
「腎」と「肺」を同時にいたわる組み合わせに。

 
 
 

ほうれん草のおひたしに
にんじんの千切りを加えれば
「肝」と「脾」を同時にケアする一品になります✨

 
 
 

このように、単体ではなく
「五色の食材を組み合わせる」ことで
互いの効能を高め合ったり
体の複数の臓腑に
働きかけたりすること
ができます。

ポイントは
「難しく考えず、色を意識すること」

 
 
 

「今日の食卓、白ばっかりだな」
「最近、緑の野菜少ないかも」

 
 
 

――そんなふうに
ちょっとした色のバランスに目を向けるだけで
体調は少しずつ変わっていくかもしれません。

  
  
  

「体にイイから」と言って
その食材だけを偏って食べるよりも
まんべんなく
5つの色を取り入れて食べたほうが
効果も食欲も
満たされ
ますよ。

まとめ&おわりに

「五色を毎日の食事で」

  

といわれると
大変なような気もしますが
私たちは
知らず知らずのうちに
これを実践しています✨✨

  
  
  

なんとなくコンビニやお惣菜屋さんで
お弁当を選ぶとき

 
 


レストランなどで
メニューから選んでいるとき

 
 
  

いろどりの鮮やかなモノを
選んでいませんか?

  
  
 

私たちは、日々の忙しさの中で
「体の声」に気づくことが
難しくなりがちです。

 

 
 
でも、食卓にふと五色を意識してみることで
「今日はちょっと疲れてるかも」
「甘いものばかり食べてるな」
そんな小さなサインに気づけることもあります。

 
 

色彩豊かな食卓は
ただ見た目がきれいなだけではなく
体の内側にもそっと働きかけてくれるもの。

 
 
 
「五色の食材を意識してみる」

 

 

――それは、体に寄り添い
日々を整えるための
小さな優しさの積み重ねになりますよ✨

●参考サイト●

https://www.muji.net/lab/food/170830.html  無印良品「五色を食べる」
https://yakuzen-komachi.jp/topics/4075   薬膳小町「五行学説(五行色体)」