漢方の基礎知識:基本の”ものさし”「陰陽(いんよう)」

漢方・東洋医学

前回まで
漢方の世界での基本となる考え方
「気血水理論」について
一緒に勉強してきました。


その他にも、
中国思想には外せない「陰陽」
漢方医学理論の根幹となる
重要な要素です。

  
  
  

漢方では
患者さんの体質や体型をみて
その人の「証(しょう)」を診断

処方する漢方薬を決めていきます。

  
  
  

患者さんを調べる「漢方の物差し」として
最初にご紹介するのが
「陰陽」という物差しです。

  
  
  

意味や名称
表現方法としても
「陰」「陽」
どちらも頻繁に出てくる言葉ですので
ここでしっかり押さえておきましょう。

  
  
  

これだけでも理解できると、楽しくなっていますよ♬

古代中国の基本思想「陰陽(いんよう)」

古代中国の占いの書
『易経』というものに

「全宇宙に存在するものはすべて
 宇宙の根幹である”太極(たいきょく)”から
 ”陰陽”に分けられ
 これがまた太極に統合される」

と書かれています。

  
  
  
  
「陰」と「陽」は互いに相反しつつも
他方がなければ存在できず
常に変化しながら
バランスを取っている
と考えられています。

  
  
  

これをわかりやすく表現したものが
「陰陽太極図(いんようたいきょくず)」(陰陽魚)
と呼ばれる図です。

「陰陽太極図(陰陽太極図)」(陰陽魚)

外側の円は
宇宙の根幹「太極」
 白い部分は「陽」
 黒い部分は「陰」
を意味しています。

  
  

それぞれの中にある小さな円は
「陽中の陰」
または
「陰中の陽」
と呼ばれています。

  
  
  

どんなに晴れた日でも日影があり
曇った日にも光がさしている場所もある。

  
  
  

陰も陽も一定ではない
ということを意味
しています

  
  
  

明るく動的で、上昇傾向にあるものが「陽」
暗く静的で、下降傾向にあるものが「陰」

とされています。

人体のなかの「陰陽」

人間も「四足ので動物である」という
基本的な概念のもと

四つん這いになった時に
日の当たる背中が「陽」
日の当たらないお腹が「陰」
になります。

古代中国医学の古典
『黄帝内経(こうていだいけい)』では
人体そのものを小宇宙としてとらえ
身体の部位や生理現象にも
陰陽の二極論を当てはめて
解説されています。

 
病 態寒性熱性
気 血不足充分
炎症反応強い弱い
顔 色血色悪い赤ら顔
体 温低め高め
冷 え無~弱
神経機能不活発活発
発 汗汗っかき汗が出にくい

人体の陰陽は常に変化していて
陰陽のバランスが崩れると
病気になる
と言われています。


陰陽のバランスが崩れたときに
人が本来備えている
自然治癒力を引き出し
正常な状態に戻すことを
治療目的としているのが
『漢方医学』
です。

  

漢方には欠かせない「心身一如(しんしんいちにょ)」という考え方

『易経』の中において
「一(いち)」という概念は
陰陽に二分される以前の
「宇宙の始まり」を意味
しています。

  
  
  

漢方の「心身一如」という概念
”心と身体は一体”ととらえ
症状を診て判断し
治療を行っていくという
基本的な考え方
です。

  
  
  

心と身体を全体的にみなければ
本質は理解が出来ない

ということを意味しています。

「心身一如」に相反した概念が
「心身二元論」
といわれる
西洋の思想です。

フランスの哲学者デカルトによって
「精神(心)と肉体(身体)を
 それぞれ別のものとしてとらえる」

という考え方です。

後の西洋医学にも
大きな影響を与え
現在でも、
心の病気は「精神科」
胃腸の病気は「消化器科」
といったように
診療が区分されているのです。

これだけでも理解が出来ると
嬉しくなってきませんか?(*´艸`*)

  
  
  

広ーい漢方の世界ですが
入り口近くの
重要な考え方が分かるだけでも
ぐっと間口は広くなったと思います。

  
  
  

中国思想の基本なので
漢方以外でも
活用できるのかもしれませんね✨



次回は陰陽以外の判断の”物差し”として
「虚実」「表裏」「寒熱」をまとめていきます!

●参考書籍●
 カラダを考える東洋医学 伊藤剛 朝日新聞出版

  
  
  

  
  
  
  
    
  
  
  
  

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